・田島メタルワーク製96ダイヤル錠をネットで検索すると、安いもので2,680円プラス送料980円と出てくる。これを弊社ではお客様用に、交換工賃込みで8,000円で対応している。いわゆる「人工代(にんくだい)」が4,340円となる。
・「たけーっ」と思われる方もいるだろうが、人工代4,340円は逆に激安だ。超サービス価格である。儲けは出ないレベルだし、目的地までの運搬交通費を差し引くと、赤字ギリギリで社員の日当分には程遠い。
・悪田が担当する、あるマンションで、前々から、ダイヤル錠の数字が日焼けして判読出来ないため、交換して欲しいというニーズがあった。個々に依頼を受けると前記のように、戸あたり8,000円でのご対応となる。今回、理事役員さんより「マンション全体で一斉に交換してはどうか」との依頼をいただいた。
・さっそく弊社の工事部に申し送り、品物をメーカーに発注し、現在の暗証番号と同じ番号で作ってもらい、ほどなく品物が届いた。「はて、これは一体誰が取り付けるのか?」と考えていたら、何と我々、管理会社の工事部スタッフが取り付けに行くことを初めて知った。
・本来、フロントマンが行う作業ではないが、今後のことを考え、手順を知っておくことは有意義だと考え、日程調整をし、工事部の上司とともに向かうこととなった。事前に交換の日程を全戸投函と掲示で案内した。突然、ダイヤル錠が変わり、お客様が困惑してしまわないようにするためだ。
・さっそく、とりかかることとなった。現地に赴いたところ、年配の男性がエントランス前で待ち受けていて、一緒にいた上司に「あなたが悪田権三さんですか」と大声で話しかけてきた。上司は悪田権三ではないことを説明するも、かなり耳が遠いようであることが窺えた。男性は悪田に「お部屋の給湯器の調子が悪いので見てもらえないか」と依頼があった。悪田はポストのダイヤル錠交換工事が終わった後に顔を出すことを伝えた。今回、管理会社がご訪問したタイミングで見てもらおうと考えたのであろう。
・実は、この日、同じマンションで、水洗トイレの封水が切れるとのご相談を受けていて、もう少し遅い時間での現調予定があった。
・ダイヤル錠の交換作業に難儀だったのが、表示された番号が判読出来ないものがほとんどだったことだ。そもそも、扉を開けないと交換作業が出来ないため、開錠に困惑した。本来、0~9までの数字が表示されている筈が、マジックで書き入れられた数字には、なぜか「0」がふたつあって、11個の数字が書かれている。しかも、設定された番号とは全く違う場所に書かれていて、これはもう書かれた数字や位置は全く当てにならない。手探りでいろんなパターンで試みて、30分ほど格闘し、ようやく開けることが出来た。
・不思議と四苦八苦しながら交換作業をしている時に限って、携帯電話が鳴りやまない。しかも、まったく緊急性のない管理員からの電話ばかり。正直「そんなことをいちいち報告しなくいも良い」という内容なのに、こういう時に限ってである。また、藪蚊が凄い。このマンションは山を背にした位置に建っているので、とにかく蚊に襲われる。集中しながらの作業しているので、最初は振り払ったが、次第に蚊に刺されることを気にしないようにした。結局、ズボンの上からもワイシャツの上からも容赦なく刺されてしまった。
・こうして約3時間の格闘の末、ようやく作業が終了し、動作確認を行い問題なく使えることが確認された。悪田は慣れない作業のため、すっかり指が痛くなってしまった。
・作業終了間際、ある女性が声をかけてきた。「先程、父が給湯器の調査を依頼したと思いますが、完全に部屋内のことですので、別の業者さんを手配しますから結構です」とのことだった。
・その後にお邪魔したトイレの封水のお宅でも、原因は、明らかな経年劣化で、そろそろ買い替えが必要と判断した。ただ、弊社はリフォーム事業に力を入れていないため、正直、高い。前にエアコンの話をした時に解説したとおり、定価プラス工賃だ。
・このため、とりあえず、メーカーに問い合わせてもらい、どのくらいの予算で修理が出来るのか。交換しか方法がないのであれば、ホームセンターやリフォーム業者はどのくらいの価格で交換してくれるのかを調べてみてはどうかと案内した。
・考えてみれば非常にもったいない話だ。リフォーム業者は常に仕事が繋がっていれば相当に利益を上げられる業種である。理由は利幅が大きいからだ。本来、弊社も、このあたりにもっと力を入れて「マンション管理」「リフォーム事業」「不動産仲介」を、それぞれ三位一体で強くしていけば、ゆくゆくは、総合不動産会社として、神奈川県内でも屈指の凄い会社になるであろう。
・しかし、その道は果てしなく遠い。その理由はまたの機会に譲ることとする。