スーパー巡査→最後は「バカ」になるの格言を考える①

・神奈川県警察官として、悪田権三は、巡査7年、巡査部長4年、警部補7年、警部13年の経験を積ませていただいた。かけがえのない社会経験だと考えているし、実に楽しい31年間の警察人生だった。

・ご案内のとおり、今の悪田は、精神福祉の世界で作業所の職員をしながら、家業として認めていただいているマンション管理コンサルタントの仕事をさせてもらっている。どちらかというといずれも、ボランティアとしての毛色に近い仕事で、県警にお世話になっていた時と比べると、収入は半分程度だが、その分、仕事は3倍楽しい。

・なぜ、3倍楽しいのか? それは、県警で叩き込まれた実務経験がそれらに生かされているから。単純に利用者さんや住民さんの安全・安心を守るという共通項を考えると、精神職員とマンション管理の仕事は、その点に生かされていると考えている。なぜ安全・安心?と思われる方もいると思うので、以下に理由を述べる。もちろん、安全を守るということが、各業務の主力ではないことを申し添える。

・精神の事業所もマンションも、多くの人が集まるからいわゆる「特殊建築物」だ。人命第一で作られ、運営される必要がある。万一の火災に備え、あるいは発生させないために、日ごろから、避難・誘導といった訓練が必要となる。防火管理者選任、消防への届出、定期的な防災訓練、機器点検、監督官庁への届出などなど、計画に基づいた対策を行ってている。

・事業所では年に二回の防災・防火・避難訓練を行っている。マンションでも年に一回は行っている。発災に備え、きめ細かく利用者(住民)の安全が確保され、生命・身体・財産に及ぶ被害が最小限に食い止められてこその訓練だ。いざという時の被害を最小限に食い止められるかどうかが、まさに生命線となる。

・では、具体的にどういう訓練が必要になるのか? 実はこれが意外と分かっていない人が多い。

・消火訓練を想定して欲しい。ピンを抜いて火元に近づいてノズルを向け噴射するだけなので簡単なのだが、意外に焦ると出来ない人が多い。ピンを抜き忘れたままレバーを握ってしまったりする失敗はよくある。広く普及している、いわゆる「ABC消火器」では、普通火災・油火災・電気火災に対応可能だ。

・しかし、正しく消火器を使用出来れば、火災被害は最小限に食い止められるのかというと、実は違う。

・火柱が天井に到達してしまうほどの勢いがある場合や、油をまかれ、広範囲に広がっている場合などは対処不能となることが多いと言われている。このような場合は、消火器での消火を諦め、自分と周囲の避難を優先すべきだ。周囲に「火事だ」と知らせ、退避することが第一だ。

・油をまかれて点火された事件は過去にも多くあった。一度に多くの被害者を死傷させることを企てている「輩」にやられてしまうと、我々にはなすすべがない。最悪、建物内の人は全員死ぬ。火災によって一酸化炭素が発生すると、それが血中ヘモグロビンと混ざり合い瞬時に意識を失うので恐ろしい。

・瞬時に燃え広がった火災は消火器で鎮火困難なのだからまずは逃げるべき。ならば、消火訓練は意味をなさないと思われるかも知れない。なので、形ばかりの防災・防火訓練では意味をなさないと考えている。

・悪田は、実務を想定した訓練を推奨している。残忍で残酷な加害者からいかに自分の身を守るかを考えて行動すべきかを提唱している。そのために、自らの身の安全を確保することは大きな意味があると考えている。

・消火器は火災鎮圧のための道具としてだけではなく、機動的な武器でなくてはならないと考えている。瞬時に加害者の行動を見極め、緊急避難的にそれが武器として使われるのであれば意義深い。消火器が構造上、何故、硬い鉄て出来ているのかを考えて欲しい。消火器本体が片手で持てるかを考えて欲しい。

・それは「消火器自体が高度な戦闘能力を備えた武器」として使えるからだ。

・「輩」に襲撃された時に、茫然自失となるのは一番危ない。輩の思うままに被害が広がってしまう。ここで重要なのは、①周囲に知らせること、②逃げること、③反撃すること、この三つだ。もちろん、消火するための機材なのだから、余裕かあるならば、本来の用途として使って欲しい。

・悪田が施設の管理者であったなら、消火器を武器として使用して輩を制圧するだろう。これほど頼もしい武器はないと思っている。輩も油をまいて火をつけようとした際に、まさか、悪田のような「おいぼれジジイ」から消火器で殴られて制圧されるとは思いもつかないだろう。だから、たぶんこちらが戦闘に勝って利用者と住民の安全が守られる。これで被害は最小限に食い止められる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA