ケイサツカンジツハウランダシャコトバシ

・あるマンションに、いわゆる「属性」の高いお客様が住んでおられる。

・手弁当で、ご協力いただき、マンションの修繕委員も務めて下さっている。

・このマンションは、ペット委員会の活動に熱心で定期的に委員会が開催されている。この方は委員の雑務にも積極的に関与してくださっている。

・ペットに関し、いろいろな問題が持ち上がる。例えば、糞尿の排泄や、毛が舞って宅内に入り込む、臭いや鳴き声などの苦情が寄せられる。ペットの飼育が認められているマンションとはいえ、やはり、嫌いな人にとっては迷惑でしかないので、こういう苦情が出るとペット委員会へ報告し、内容によってはお集まりいただき、意見交換を行い、周知徹底を図っている。

・本来、ペットの集会にまで管理会社が参加して議事進行をするとか、議事録を作成するとかの支援を行っているのは、弊社だけではないだろうか。「心の通う管理」という意味不明なアレを目指しているためだ。「ペットは家族」だとはいえ、そこに管理会社が関与するのは、いくら何でもやりすぎだと悪田権三は考える。

・「法は家庭に入らず」という言葉は、実は「民事不介入の原則」とは同義語ではなく、むしろ対義語である。警察的には、後者は、時代遅れの悪しき伝統と位置付けている。例えばDV、親子間・近親者間の児童・高齢者虐待等、これらは犯罪行為であり、積極的に関与しないと「弱い者が殺されてしまう」「人権が侵害されてしまう」「被害が拡大してしまう」といった重大な結果を惹起してしまう。社会は弱者の救済に関心が高く、相談を受けている行政がやるべきことを行わず、最悪の結果になってしまった場合に強い非難の目を向けるので、警察は事件化はもちろん、一時保護など出来うる限りの措置を行って対処する。

・また、後者に関しては、民事の名を借りた違法行為が組織的に敢行され、それにより犯罪資金獲得活動が行われ、暴力団等の反社会勢力が増長した背景がある。組織犯罪による治安の悪化が社会問題化し、これを取締るための法整備、体制づくりが行われ、今日に至っている。

・悪田は平素から、「何故、麻薬特例法の法定刑の上限が無期懲役なのに、振り込め詐欺といった特殊詐欺の上限が組処法適用で、マックス15年なのか」意味が理解できない。振り込め詐欺は間違いなく、暴力団等の犯罪組織が階層的に役割分担され、そのいわゆる「アガリ」が組織的な階層順位に従って分配されている。

・年間被害額が300億円を毎年超えている実態があり、この種の犯罪が当たり前のように横行し、日々、市民の財産が奪われていくようになる中で、一貫して厳罰化が図られないのはおかしいと考えている。警察、検察、法務省、それに国会議員を始めとする、いわゆる「バッチの連中」の怠慢だと考えている。悪田が将来的に、これらの職に就くことはない。ただ、市民の生命・身体・財産の保護に任ずるのが警察の役割りで、その活動に法整備といった形で魂を込めて行くのが、警察庁や国の上級官庁、さらに議員連中の当然の仕事だと考えているから、厳罰化を図ることに何のためらいがあろうかと考えている。

・対局にあるという話に戻す。

・「法は家庭に入らず」は、他人がいちいち「人の家庭に土足で踏み込んでくるな」あるいは「余計なおせっかいをやくな」という意味である。ペットと家畜の違いは、同じ生き物であるが、前者は人が生きて行くうえでの付加価値で、後者は道具であったり、食材であったりすることの違いだと認識している。悪田も犬や猫が嫌いではなく、むしろその逆だから、ペットが家族であることに異論はない。

・ただし、家族だとするならば、自分たちのことは自分たちでやればいいのであって、家族でも親戚でもない管理会社に、ルールづくりを含めた運用までもお世話になるのは、とうかということだ。管理会社はサービス業であることに間違いないが、営利企業でありボランティアではないのだから、そこに関与するサービスを展開するならば、当然に費用をいただくべきだ。「なんだよ金取るのかよ」と思われても「当たり前だ」と思われるよりはマシだ。

・属性の高いお客様は、ペット委員会運営細則や修繕委員会の長期修繕委員を積極的に努めてくれる、たいへんに意識の高い方で、悪田にとっては頼り甲斐のある有難い存在だ。ただし、ちょっとだけというか、あちらは、たぶん、悪田に対し、かなり敵意を持っていることが窺える。理由はたぶんこれだ。

・ある日、電話で車庫証明を取得したいとのお問合せをいただいた。何のことはない日常の依頼事務であったが、管理員を経由してお問合せをいただいた。

・一か月だけ駐車場を借りて車庫証明を取りたいというのだ。何となくピンと来られると思う。離れて暮らす親族が、いわゆる「神奈川ブランドのナンバー」を取得したいから、一か月だけ借りて、車庫証明を取得し購入して、その後、駐車場契約を解約するということだそうだ。

・正直、その背景を知らなければ、悪田は二言返事で事務処理を行っていた。しかし、依頼された内容は、保管場所法違反、いわゆる「車庫飛ばし」だ。犯罪行為であることを管理会社が事前に認識したうえで、事務処理を行うことはコンプライアンスに触れるという問題があるだけでなく、共犯関係、ここでは幇助犯が成立する立派な犯罪助長行為だと考えた。

・したがって、事情を説明し「おやめになった方がよろしいのではないてしょうか」とやんわり諭した。結果、借上げを辞退された。しかし、その後、態度が一変した雰囲気を感じる。

・大人であるから、いちいち「おまえが嫌いなんだよ」「管理会社は言われたことだけやりゃいいんだよ」とは言われないが、何となく、遠ざかった雰囲気を感じる。例えば、重要案件の臨時総会提出用の議案書、あるいは細則変更が議論されている場面での細則変更案などだ。正直、悪田は、かなり神経を使って考えに考え抜いて、叩いて叩いて、他の条文に干渉しないことを確認し、それでいて、本質を外さないよう心掛けて作っているから、外に出して決して恥ずかしいものではないと自認している。

・ある法曹関係者に必要があって、事前に議案書の下書きを見てもらった際、絶賛をいただいた。もちろん細かな修正が必要なアドバイスはいただいたが、不思議とその委員さんは、何かと横やりを入れてくる。「ここの主語がおかしい」とか、「ここの説明は理事会が発案した内容ではないから間違っている」とか、些細なことだ。また、細則に関しては、付記・変更する部分を案として明示したものを、わざわざ「補足説明」という欄を設けるべきだなどと発言しては横やりが入る。些細なことだが「こうしろ、ああしろ」はなく「おかしい」を指摘するだけだ。正直、おかしくはないし、むしろ迷惑な指摘だ。

・悪田の経験から至った持論として「人の作った文章を直すのはバカでも出来る」と考えている。また、長文の供述調書(供述書)や他の条文に影響を与える規約といったものは、間違いを指摘するのは簡単だが、他の条文や説明内容に干渉して不備が生じたり、他の供述に矛盾が生じてしまう点を熟慮しないと、後になって、とんでもない文章が完成してしまったことに気づくことがある。

・例えば、細則変更の場合、本来の趣旨が「迷惑行為をやめさせよう」というものだったのが、スポットで指摘することで、まったく別の趣旨にすり替わってしまう恐れがある。だからこそ、間違いを指摘することは簡単だが、矛盾が生じてしまうことを踏まえ、具体的に「ここをこういう表現に変更しろ」と指示しないと、全体がおかしくなってしまう。組織の幹部と呼ばれる責任者は、その経験値をもって、そういう具体的指示が出来るからこそ、部下の誤りを指摘し、正しい方向性となるよう修正する役割りを担っている。

・間違いを指摘するだけで突っ返すやり方は、立場の弱い者に対するイジメでしかない。

・ほんの理事会での一幕だったが、後で「言った言わない」ということになるのは御免なので、悪田は委員に「具体的にどうしたらよろしいかご指摘願えますか」と質問した。そうしたところ、条文の途中に「補足事項」を付け加えるべきだとの意見を賜った。正直、そんな規定など見たことがない。条文を明記しなければならない場面において、そこに解釈論(コメント)が併記されているものなど、条文であろう筈がないと鼻で笑いそうになった。しかし、客から言われれば仕方ないので持ち帰ることとした。

・他の理事役員、委員は、皆、一様に黙っていた。黙っていた理由は何故かは誰も知らない。その時、悪田の脳裏に表題の俳句が浮かんだ。それこそ、委員と悪田にしか分からない名句だと感じたが、この点に関しては、たぶん「名句ではない」とのご指摘をいただきそうだから、あえて「カタカナ表記」にした。

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