見積りはやる気を表す

悪田が宅建業者だった当時に購入した土地がいまだ売れずにある。

特段、借金をして購入したものでもないので、問題はないのだが、そろそろ、価格を下げようかと考えている。

同業者であった先輩業者さんは、タイミングだと言っていたが、まさにそうなのかも知れない。

当時、購入したこの土地には上モノが建っていた。販売に際し、協会支部の役員をやられていた大先輩にも相談したところ、更地にして再販するのがベストとの意見だった。

理由は、前のオーナーが違法な増改築を繰り返していて、今更、本来の登記と同じ状態に戻せないから。

宅建業者としては、売主としての業者としての責任があるから、たとえ中古とはいえ、違法に増改築された建物をそのまま再販するのは良くないとのことだった。

困ったのは、そこからだった。

何せ、いわゆる「ゴミ屋敷状態」だ。そもそも悪田は、どうせ解体する建物だから、残置物があろうとなかろうと大した問題ではないと考えたが、とんでもない間違えであることを後になって思い知った。

解体業者さんには、廃棄物を分別処理する責任があるらしい。

建物はもちろん、屋内の家財道具一切に至るまで、全て分別処理する責任がある。

この解体に要する費用に加え、土地の境界を明示するための測量費用が後でのしかかってしまった。

実は当時、解体に要する費用を残置物の処理とあわせ三社に見積もってもらった。

その中で、一番にやる気が感じられた業者さんにお願いした。平塚で一番だという噂どおり、迅速丁寧な仕事だった。

結局、現在の売価を取得費用で差引くと既に赤字となっている。

しかし、それでもこのままという訳には行かないので、値下げを決断した。

折しも今週末に内見希望をいただいているので、購入意思があるなら、それなりの値引きを覚悟している。

とはいえ、不動産はご縁だ。見た目の印象が大事なのは言うまでもない。そのため、昨日、草をむしってきた。

約二ヶ月ぶりだ。たった二ヶ月なのに、雑草の繁殖力はすさまじい。

この土地を取得して間もなく二年、この間にいろいろなことがあった。

その記憶に思いを巡らせながら、丁寧に一本一本手で抜き取った。

果たして、購入希望者の目にこの土地はどのように映るだろうか。楽しみだ。

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