・調停が成立した際に、裁判官は何と言うか、皆さんはご存知でしょうか?
・正解は「おめでとうございます」です。
・何故「おめでたい」のかは分かりません。正直、悪田は法律のプロではございませんので、本調停に関しては、不愉快な思いしかありません。
・ですが、かくして、無事に調停は成立する運びとなりました。
・そもそも、自分たちの施工不良が原因なのに、改修工事の要求をはねのけ「フン」と言わんばかりの態度で裁判所を後にしていった相手方・利害関係人・相手方弁護人の後ろ姿を見送りつつ、そんなに不愉快なのであれば、最初からこちらの要求に真摯に応えるべきだろうと悪田は感じました。
・悪田がお世話しているマンションでは、そもそも、調停条項として求めた内容が「工事代金をお返し下さい」というものだったのが、相手方が契約不適合を認めつつ、再施工(改修)したいと申し出たため、こちら側もそこに寄り添うしかありませんでした。
・契約不適合事案における、再施工の申立ては、施工者の責任であり、権利でもあるそうです。だったら「最初から誠実に応じろ」と言いたいものです。
・また、本来、やってはいけない内容の工事(隠蔽配管、PS内には耐火性のある部材を使わなければならい、その他)を、プロが平然とやってきたものであり、さらに、同排水管系統からの漏水が起こっているのに「再施工には応じるが、それが漏水原因でないのなら、そこは管轄外だ」とはねのけた業者への信頼性など、こちら側にある筈ありません。こちら側が素人であることをいいことに、悪徳業者に、完全に舐められた工事をされてしまったのです。
・しかしながら、刑事事件でも民事事件でも、はたまた、今回のような調停でも同じことが言えるのですが、悪いヤツほど、裁判官の前では「いい子」になります。裁判官の前で悪びれた素振りを見せると心証形成上、よろしくないので、いい子のふりをします。本当にそれは確信します。
・裁判官も余談を排して審理(調停では話し合い)に臨みますから、いい子のフリをした悪人を頭ごなしに悪人とは決めつけません。ですから、悪田のように、向こう気の強いド素人が来ると、そもそも、こちらが被害者側なのに、あたかも「被害者を気取った当たり屋」のような心証を抱くのではないかと思います。
・ですから、冒頭のような伝家の宝刀を悪田に振りかざして、弱い者を逆に懲らしめようとするのです。いわゆる、法曹三者と呼ばれる「裁判官」「検察官」「弁護人」は超難易度の高い試験に合格して、長い実務修習を経て、実務経験を経てそこにいる訳ですから、悪田のようなボンクラ低能な者では、とても歯がたちません。
・しかも、その三者はそれぞれの立場は違えど「根っこ」の部分では繋がっているのです。だから、互いに法律のプロとして、話が通じるのです。お互いにやり口を理解しているから、駆け引きができる。駆け引きが出来るから取引きも出来る。そういう構図となります。
・同様な構図は、警察社会でも存在しています。例えば、暴力団等の反社会勢力がなくなると、一番困るのは警察です。例えば、少年犯罪(ぐ犯事案)がなくなると、一番困るのはやはり、警察です。
・前者に関しては、ヤクザがいなくなると、担当部署が要らなくなる。予算や人員が削減される。少年犯罪(ぐ犯事案)がなくなると女の子を買春する悪い大人が捕まらなくなる。検挙目標としているターゲットが激減すると、成果を挙げたという報告が出来なくなる。
・成果がなければ、治安が良くなったと知らしめることが出来るが、その部署は必要なくなる。必要なくなれば、予算要求できなくなるし、予算がなければ人員の配置も出来なくなるのだから、組織として不必要になるという構図です。※実際には、暴力団犯罪も少年犯罪も、日々、悪質巧妙化しているので、各部署が縮小されることは考えられません。
・さて、以下のとおり、まとまった調停条項を記載します。もちろん、マンションにおいては、組合における総会決議事項に基づいています。また、同時点におきまして、一階の漏水原因が判然としない前提で、調停条項に網羅し切れない内容は、管理者たる理事長に一任するといった内容で着地しました。
・相手方に対し、調停を起こすための総会議案書を作成したのは悪田となりますので、調停条項を相手方(利害関係人)と事前調整(相手方を招致したうえでの説明会を開催し)したうえで、終結するための総会を開催し、議案に対する承認を得たうえで、第3回目の、最後の調停に臨みました。
【以下、調停条項となります】
1 申立人、相手方利害関係人は、令和7年〇月〇日に開催された申立人の第〇期通常総会(以下「総会」という)において、〇〇マンションの共有部分たる排水管等の漏水対策工事に関し、次の事項が承認されたことを相互に確認する。
(1) 相手方の費用負担にて、耐火性のある配管部材を使用した補修工事を行うとともに、工事(再施工)を行う。
(2) 相手方は、同所に残置されていると思料される廃材を撤去し清掃を行う。
(3) 相手方は、配管とスラブ間の穴埋め処理を行う。
(4) 相手方は、〇〇号室と✖✖号室のパイプシャフト壁面に点検口を設ける。
(5) 利害関係人が保管している紙ベースの図面を電子化して提供する。
(6) 現在、駐車場とEVピット内で漏水が発生しているので、相手方はその原因調査を行う。
2 申立人、相手方及び利害関係人は、総会において、次の事項の特約及びその他の事項が承認されたことを相互に確認する。
(1) 第1項の工事に関する費用は無償で行うものとする。
(2) 駐車場とEVピット内で発生している漏水原因が、対手方の瑕疵でない場合、その費用の見積書を申立人に提出し承認を受けた場合は補修工事を行う。
(3) (2)の工事については、相手方は原価で工事を行うものとする。
(4) (3)の原価とは、材料費、業者(相手方の下請業者)に支払う費用、現場における費用を指し、利益を計上しないものとする。
(5) 駐車場とEVピット内の漏水原因が専有部分にある場合を考慮し、この場合の再調査・情報提供の便宜を図るとともに、復旧に向け積極的に協力する。
(6) その他、第1項の工事を推進するうえで、不測の事態が発生・想定される場合には、管理者たる理事長に一任し、相手方と協議のうえ、相手方と協議のうえ、復旧を進めるものとする。
3 相手方及び利害関係人は、申立人に対し、第1項及び第2項の事項について、誠実に対応することを確約する。
4 申立人、相手方及び利害関係人は、申立人と相手方間及び申立人と利害関係人間において、本件に関し、本調停条項に定めるもののほか、他に何らの債権債務のないことを、それぞれ相互に確認する。
5 調停費用は、各自の負担とする。
・当然に、悪田は標記のとおり、弁護士ではないので、当事者適格はございません。後に送られてきた調停調書には悪田「悪」の字すらこざいません。もちろん、人生初の経験として挑んだ民事調停ですし、法的な手続き面に関してはド素人です。
・今回、困っているお客様からのたってのご要望を受け、無償でお手伝いをさせていただきましたが、結果としては、こちら側の完全勝利の形で終結することが出来ました。しんどいだらけの調停でした。しかし、貴重な経験をさせていただくことが出来たおかげで、マンション管理士としての経験値は各段に向上したと実感しています。
・しかも、驚きの結果が、後に判明することとなります。
※今回は、あえて「です」「ます」調の表現としました。