・弊社「こころの通う管理」の社長が、毎年、この時期に恒例としていることがある。自らライトバンを運転して各物件を回り、管理員さんひとりひとりに声をかける。現場を見て、現場の声を聞いて回る。そういう活動を行っている。
・社長の立場でこれを行う理由はいろいろとあるようだ。現場の管理員さんがどういう勤務をしているのか、どういうことに困っているのか。一人で抱え込んでいないか。これらを把握するために行っているそうだ。
・この現場の声を聞いて回る活動は、同時にフロント社員、あるいはアフターサービスを担当している社員の活動を間接的に把握することにも繋がるそうだ。
・普段から、上司に対して、調子の良いことばかり報告していて、現場の管理員さんをないがしろにするような社員はいないか、社内が管理員さんも含め、ひとつのチームとして有機的に動けているのか。
・お客さんの声が末端社員の一人ひとりまで届いているのかを見極める活動だそうだ。これこそが、まさに現場の声を聞く活動だそうだ。
・悪田も末端の社員として、常にその理念を共有し、心がけて行かなければならないと考えている。
・警察では現場の勤務実態や担当業務といった、職務全般に関する把握を幹部が担っている。警察署では係長や課長、警察本部では課長補佐や課長代理といった幹部が担っている。
・基本的なことが守られているか。捜査書類や証拠品の管理が適正に行われているか、取組み目標が設定されていて、効率的に業務が進められているかなどなど。
・仕事が効率良く進められているかどうかは、机を見ると分かる。雑然と散らかっている職場、整理整頓がなっていない現場は、仕事の進め方も雑だ。弊社の社長が現場を見て回る中で、勤務実態を把握するためのそれは、お客様がどのように見ているか、感じているかという点に向けられている。
・対して警察のそれは、幹部による業務管理が徹底されることで、適正に基本どおりの業務が推進されること、事故に繋がる要因を把握して修正することにある。ひいては、市民・国民・県民の負託に応える活動となるから、原理原則にしたがった業務管理が必要となる。
・それと、もう一つ大事なことがある。職場内の風通しがどうなっているのか。空気がよどんでいないか、職場内に笑いや笑顔があるか。これは、仕事への遣り甲斐、働き甲斐という点で非常に重要なことだ。風通しの良い職場では業務が効率的に回っていることが多い。要するに幹部の能力次第で仕事は良くも悪くもなるということだ。
・つらつらと昔を思い出していたら、改めて「下っ端は気楽だなぁ」と感じた。悪田の持論は「重要な仕事は幹部にやらせよ」だ。警部試験の面接で、面接官から「幹部は渦中に入ってはいけないのではないか、幹部の立場で業務を把握し、部下を監督し、仕事をやらせることが大事なのではないか」と質問された。
・悪田は「業務を適格に把握するためには、幹部自らが業務の第一人者であることが肝心だと思います。自らがプレイングマネージャーとなって部下や業務をけん引します」と答えた。
・実際にその公約どおりに仕事を推進してきたから、警察を退職する時には、やりきった感をもって警察本部庁舎を後にした。悪田が有能だったか無能だったのかは、たぶん後者であろう。だから警部どまりの、しかも、13年間も警部をやることになった。
・だが、その時の経験、その時からの理念があるから、今の職場において、大いに役立っている。現場は楽しい。少々、しんどいのも事実だが。それでも楽しい。