当事者どうしにやらせておけ

以前にも紹介した事例だ。

ある小世帯マンションの玄関ドアの不具合が段々と酷くなり、改修の議論を重ねていた。

まとまりかけたところで意見が分かれを繰り返していた。

交換工事の必要性については合意に至ったものの、交換枚数に関して意見が分かれる。

そもそも玄関ドアは共用部だから、組合の費用で全数を交換すべきだに対し、共用部とはいえ、実質的に各区分所有者の財産として帰属するものだから、足並を揃えるべきだという意見に分かれる。

確かにいずれももっともな意見だ。

それは良いのだが、その先が厄介だ。

長期修繕計画の根拠を示せとか、そもそも部屋の大きさが違うのに管理費や修繕積立金の額が同じなのはおかしいなどと、怒りの矛先がなぜか、管理会社に向かってくる。

早く対応しろ。メールで意見を交わせ、オンライン会議を活用しろ…などなど、次第に要求がエスカレートし、誠心誠意対応しても上げ足を取られる状態が続いていた。

正直、やや、辟易としていた。

そこで上司に相談したところ、喧嘩したいなら当事者同士で戦わせたほうが良いのではないか。というアドバイスをもらった。

最低限、長期修繕計画の根拠と部屋の広さで管理費と修繕積立金の金額を改定した場合の額、さらに規約改定による議決権割合を「懐刀」にした。

出すつもりはないが、出せとリクエストが出たら出すつもりで用意した。

結果的に出さずに終わったが、議決権割合が変わると面白い現象が起こることが分かった。ある一人が議案に反対すると特別決議が通らなくなるのだ。いわゆる四分の三決議が通らなくなる。

これは今後のマンションの管理運営上、深刻な問題となる。一人が反対するだけで、規約改訂も大規模滅失の復旧も、いわゆる59条競売も出来なくなる。

そして、集会当日を迎えた。

事前に用意しておいた長期修繕計画の推定修繕項目の詳細を見積りを取得により把握したことを説明した。

また、実質的な玄関ドアの価格と推定修繕項目との間に乖離があることに関しても、それが一般的な仕様に基づいて算定されていることも丁寧に説明した。

するといよいよ、ドアの交換枚数の話に突入し、議論が次第にヒートアップする。

悪田は黙って見守った。

すると、突然、会議が終了した。時間切れとなって勝手に切れた。

まるで聞きたくもない上司の下手なカラオケが演奏中に、突然、止まったように強制終了となった。

その後、復旧した後に、再び議論を再開したが、当事者はすっかり興ざめして冷静さを取り戻していた。

おかげで話はキレイにまとまった。

オンライン会議システムは、時間で切れる仕組みの方が参加者が大人でいられる。

 

 

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