・ 悪田権三が、県警に勤めていた当時、年間2,000キロを目標にランニングをしていた時期があった。
・ 本意ではなかったが、刑事警察部門を離れ、鉄道警察隊中隊長として横浜駅を拠点に、電車内、鉄道施設内における事件対応や部下の指揮にあたっていた当時のことである。
・ 年間2,000キロを1日あたりに換算すると、約5.479キロとなるが、中隊勤務は、3日に一度、当直勤務があるため、当直日に走り込むのは、時間的になかなかしんどかった。
・ そのため、非番日か週休日にざっくり20キロを走ろうと決め、体を動かすべく、ストイックに励んでいた。
・ また、刑事部門を離れ、仕事に忙殺されることもにく、自分の時間が取れるようになったので、同じく非番日・週休日を利用して、宅建以外の資格試験に取り組んだ。
・ 幸いにして、宅建に関しては、刑事の仕事をやりながら、少しの時間を見つけては取組んでいたので、取得済みであったが、勉強の仕方が悪かったことと、そもそも、学習に対する素養に欠けていたので、取得までに5年もかかってしまった笑
・ さて、ストイックに取組むことについて。結果が出ないことが多かったのが実際のところで、当初は不思議でならなかった。
・ むしろ、意を決して取組んだ成果は、マイナスに作用したことも多かった。なぜかと悩んだこともあったが、先日、知人が面白いヒントを与えてくれた。
・ ストイックに取組んだことの成果が結びつきにくい理由は、心に余裕がなくなるからだそうだ。
・ 心に余裕がなくなると、一点集中的にしか物事が見えなくなり、本来、全体を俯瞰しなければならないことに気づかなくなるからだそうだ。
・ なるほど、留飲が下がった。確かにそうだったかも知れない。しかも、結果に結びつかなかった時に限って「こんなに一生懸命に取組んだのに」と愚痴や不平不満が出がちだ。
・ 実際に悪田が「心の通う管理会社」で働いていた当時も、会社に泊まり込んで取り組んだ案件に関しては、不思議とお客様からの小さな指摘や思わぬ質問や意見がなされ、すんなりと議案が通らなかったことが多かった。後になって思いを巡らせると、おそらく、自分自身の中の「やり切った感」が、今一歩の到達点でとどまっていたからだと思われる。
・ 実質的にマンション管理会社のフロントマンとして第一線を退き、一夜が明け、まるでケツに火がついたかのようで、ストイックで慌ただしかった日々を解放された自分を冷静に見つめ直すと、これからは、多少は心の余裕を持って、残りの人生を楽しむことの重要性を再認識させられた。