・過日、三日間かけて玉掛け技能講習を受講して参りました。
・「玉掛け」とは、ワイヤーロープやチェーンその他の玉掛け用具を用いて、荷をクレーン等の吊り具に取りつけたり、取り外す作業を言います。玉掛け作業とクレーンの操縦とは別の業務で、クレーン等を運転する資格を持っていても、玉掛け作業は出来ません。
・吊り上げ荷重または制限荷重1トン以上の玉掛け作業を行うためには、本技能講習を修了する必要があり、1トン未満の場合は、本技能講習終了若しくは「特別教育終了者」であることが必要です(就業には満18歳以上の年齢制限あり)。
・さて、本技能講習は三日間で行われました。前述の特別教育修了者には、一部免除科目があり15時間教習となっていて、悪田のように何もない場合は19時間の教習が求められます。
・約1日半に及ぶ学科教習の後、学科試験が行われ、合格者は技能教習へと進みます。
・まず質量目測という、見た目の大きさと在室により、質量を判断してどのワイヤーロープを使用すべきかを学びました。荷は材質により1㎥あたりの質量が異なります。例えば1㎥で水の場合で1トンなのに対し、鋼材では7.8トン、コンクリートでは2.3トンとなります。
↑三辺の長さ50センチのコンクリートの質量は約0.36トンとなりますので、これに基づき質量を推測します。
↑直径20センチ、長さ1メートルの丸鋼の重量は約0.3トンであるため、これを基に質量を推測します。長さの測定は手や両手の長さ指の太さ等を参考にします。
・ワイヤーロープで荷を吊り上げる際、吊り角度によって張力係数が異なります。例えば、吊り角度0度では張力係数は1倍となりますが、吊り角度30度で1.04倍、60度では1.16倍、120度では何と2倍の張力がかかります。
・基本的に、荷の1本吊りは危険なため、教習所では禁止となっています。2本のワイヤーロープで荷を吊り上げる際は、荷の質量と張力を考慮したうえ、最適なワイヤーロープを選択することが実地試験項目の一つです。
↑どのワイヤーが直径何ミリかは表示されていません。また、ワイヤーロープの太さは順序どおりになっていません。
・三日目の実技では3人一組の班編成を行い、順番にリーダーを決めて玉掛けを行います。
・午前中の実技では、4か所での玉掛け(それぞれメニューが微妙に違います)を行います。
↑本教習では平板に当て板を使用してワイヤーロープ2本で吊り上げる内容を実習しました。
・教官からは「午前中の教習を適当にやっているヤツは落ちる」などとハッパを掛けられましたので、教習生も緊張しながらの教習でした(ただ、実際に落ちた人はいませんでした)。
・午後、試験本番を想定して、教習が行われました。試験の課題は、質量800㎏の丸鋼をワイヤーロープ2本(太さ10ミリ)を使用して、逆目通し浅絞りで玉掛けし、地切り後、1メートル吊り上げて、目的地まで移動するという想定で行われました。
↑質量800㎏の荷を、吊り角度60度以内で吊り上げるので、使用するワイヤーロープの太さは8mm(1本)でオッケーです。今回、2本の直径10mmのワイヤーロープ2本を使用しますので、張力にはまったく問題ありません。これを✖の位置に移動します。
・実施の説明に関しては、序盤の説明に関してはカンペを見てもオッケーでした。重要なのは、質量いくつの荷をどのような方法で玉掛けするか、使用するワイヤーに問題はないのかということ。それに、実施に際しての安全性を確保することとなります。そのため、あらゆる場面において、安全呼称が正しく行われているかを厳しく見られました。
↑カンペの一例。言葉が出て来ない。安全呼称を失念すると午前中の実技を怠けていたとみなされ厳しく叱責されます。
・かくして、試験は無事に終わりました。質量目測に関しては、教官がヒントを与えてくれるので、迷った時には遠慮なく逆質問で構わないと思います。大きく間違っていると「本当にそれでいいのか」などと暗にヒントを与えてくれます。
↑交付してもらった終了証です。今回、以前に受講した二つを一つにまとめてもらいました。
・今のところ、実務で即使用する予定はありませんので、自分自身でも段々と資格マニア化してきたように感じています。
・最後にいつものお弁当です。けっこうな頻度で、この教習所に通っているので、正直、このお弁当にも、やや飽きた感が出て参りました笑