・いわゆる「ホタル族」の問題である。
・おそらく共用場所における喫煙に関し、少なからずトラブルがあったり管理会社に要望が寄せられないマンションはないのではないか。
・国土交通省が所管しているマンション標準管理規約(単棟型)第18条では「対象物件の使用については、別に使用細則を定めをするものとする」とある。
・これを根拠に、共用場所での喫煙禁止を定め、特にベランダにおける喫煙を禁止しているマンションがあるが、ひと昔前のマンションは、喫煙を直接禁止する細則となってないケースが多い。
・いまや喫煙者にとっては肩身の狭い世の中である。公共の場所では吸える場所より吸えない場所の方か多いのではないか。
・街中で歩きタバコでもしようものなら、いかにも警察OBのような社会経験豊富な巡回パトロール隊に見つかり、たちまち科料を取られるといったペナルティが待っている。
・悪田権三はタバコを吸わないが、今やタバコ一箱の価格も決して安くないことをを考慮すると、危篤にも相当な税金を納めていることになるが、好きな人にとってやめられない気持ちも理解できなくはない。
・いわゆる「バルコニー」や「ベランダ」と呼ばれている施設は、標準規約では第8条において共用部分とされているが、同規約第14条において「専用使用権」が定められている。
・要するに排他的に使用する権利を与えているのだから、使用料を取っていることが多いし、専用使用権のある人に好きに使わせてやれば良いのだが、困ったことにタバコの煙を含めた臭いのトラブルは、所望される人から、その臭いお断りの人に流れて行くものである。
・どうでも良いことだが、①ベランダ、②バルコニー、③テラスの違いはは、➀が庇あり、②が庇なし、③がリビング・ダイニングと連携するように設けられた施設ような区分けである。
・使用細則にて、明確に喫煙を禁止していない場合、タバコをご遠慮下さいとお願いする根拠は、必然的に火災予防・発火の恐れのある危険物持ち込み、迷惑な臭いといった「あいまい」なものを示して、加害行為者に畳みかけるような努力があって、治まっているのが実情ではないか。
・使用細則で明確に禁止をうたった場合、ベランダのそれは共用部分となるから、そこで「プカリ」と一服つけていると、細則違反となって注意が与えられてしまう。
・一方、居室内で吸うと、鬼より怖い嫁がブチ切れるし、稼ぎ頭の月給よりはるかに高い値段で売られているペットまでが、露骨に嫌な顔をするので、タバコを吸えるオアシスは、必然的にベランダしかない。
・にもかかわらず、隣家の住人から「健康を害された」「洗濯物に臭いがつく」「とてつもなく臭い銘柄のタバコを吸っている」などと言われたい放題で、肩身が狭い。
・しかも相隣関係があって、当事者間はなかなか言いにくいという背景があるから、怒りの矛先は、自然と管理会社に向いて来る。「あんな臭い状況を放置して管理会社は一体、何を管理しているのか」のようなことを言われるのは日常である。
・断っておくが、管理会社のフロントマンは「臭気判定士」ではない。臭いに関する、あるいは匂いに関する嗜好は千差万別である。「タバコを吸わせるな」は理解出来るが「臭いタバコを吸わせるな」は臭いかどうか判断のしようがない。
・「ジジイの加齢臭が臭いんだよ」と街を歩くJKに因縁をつけられたとしても、そもそもJKの意味を知らない中年男性にとっては、単に「ジジイ臭い」の略称にしか感じないのと同じであろうか。
・またタバコのみならず、昨今では「芳香剤」「柔軟剤」「お香」「焼き魚」までが臭いのトラブルとなっているらく、これらは、いずれも嗜好性によるものであることが多い。
・今日の理事会で、ある役員さんから「この問題を突き詰めると集合住宅での生活が出来なくなる」「理事会の判断材料に資するためアンケートを実施することに異論はないが、実現不能な要望をすべて汲み取る必要はない」との判断をいただいた。
・そりゃそうだ。何も自分自身、好き好んで臭い中年を目指して人生を歩んできたことではない。
・占有部分での喫煙を禁止することは出来ないが、根の深い問題であり、喫煙に関してのトラブル原因がルールの不備によるものであれば、根本的にものから改善したい。