何でも「カスハラ」と位置付けたい共産主義者のエゴ

・自慢ではないが、悪田権三は一風変わった人から可愛がられることが多い。

・警察にいた当時も、悪田を可愛がってくれる人は、階級にかかわらず、だいたいおへその曲がった偏屈な人が多かった。周囲におもねることなく自我を貫こうとする人は、逆風に立ち向かって行こうという気骨の持ち主であることが多く、まっすぐな人が多い。

・なんちゃって警察剣道初段の悪田も世界の〇〇と呼ばれる、かつて剣道世界選手権大会で優勝したことのある剣道八段の大先生から、褒められたことがある。「お前の剣道は真っすぐで良い剣道だ」と。得てして、武道の世界でも仕事でも、日々、慣れ親しんでしまうと、マンネリ化に陥りやすい。漫然とダラダラと同じことをやっていると、一生懸命にやっているようにみせかけながら手を抜くようになったり、本来のマニュアルどおりを無視して自己流に走ったりしがちだ。

・そうすることで知らず知らずの間に我流が芽生え、おかしな癖がついてくる。それを長く繰り返していると、見た目にも年配者であることを相手も認識するから、何となく、基本を逸脱した奇妙な動きをしていても、何となくプライドに傷をつけてしまうことをおもんばかって注意されなくなる。この繰り返しによって、ダメなベテランが養成されてしまう。

・剣道は面と小手だけで良い。打たれてもいいから真っすぐ打て。みっともないから、がちゃがちゃの剣道をするな。悪田は「なんちゃって」ながらもこれまでの間、それを実践してきた。それが指導者の目に好印象にうつるようで、よく稽古をつけてくれる。稽古をつけていただいた後にご挨拶に伺うとよくお褒めの言葉をいただく。だから、下手ながらも剣道が好きでいられるし、50歳を過ぎた今でも、今後また、機会があれば竹刀を振って汗を流したいと考えている。

・ある報道で、実に興味赤い統計結果を知った。2020年10月~12月までに、全国の自治体職員約14,000人を対象にした調査だそうである。「カスタマーハラスメント」と呼ばれる、住民からの迷惑行為やクレームを受けたという職員が、実に46%に上るとの調査結果だそうだ。対象職員は自治体・病院・公共交通機関で、具体的内容としては「暴言や説教」「長時間のクレームや居座り」「暴力行為」「弁償金品の要求」で、同被害を受けた職員の実に66%が強いストレスを感じ、出勤がゆううつになったり、仕事に集中できなくなったり、眠れなくなったなどの影響があったのだそうだ。

・この統計を発表した労組は、日本共産党系の労働組合連合団体で、団体の長がコメントの中で新型コロナウイルスの感染拡大の影響を指摘している。悪田はこれを共産党ならではの「新型コロナ」に責任転嫁した欺瞞に満ち溢れたガス抜きだと感じた。確かに、カスハラが原因となって、自治体職員の体調不良となったとしたら、それは由々しき問題だ。

・悪田も好きでマンション管理会社で働くが、理不尽や不条理が「心の通う管理」と実質的に同義語となって商材を提供している、某民間会社に比べれば、自治体職員個々が受ける心的ダメージの影響力は計り知れないと考える。

・共産党はさておき、県警の通信指令室で勤務していると、週末の夜中ともなると、深夜2時台であっても、通報が鳴り止むことはない。このくらいの時間になると事件・事故の届出というよりは、深夜の騒音苦情や家族間トラブルといった通報が多いが、その中でもいわゆる「酔っ払い」からのしつこい電話が多く、それが受理業務の妨げとなっているのか現実だ。

・電話のやりとりでも、受理をしている警察官はプロなので、経験上、上手にいなす方法を心得ている者がほとんどだ。エース級のオペレーターで24時間で200件近くの通報を処理する能力を持っているが、その中でも統計上に反映されない「その他」の処理をしている例が多い。その理由はここでは触れないが、受理業務の合間に指令業務もこなているので、相当に多忙な業務量であることは、散々、この目で見てきたことなので間違いない。

・酔っぱらって寂しくなり、愚痴を聞いてもらいたい通報者もいる。本来、110番通報をそのように使われては困るのだが、それを強く咎めたところで、その迷惑電話がおさまることはない。

・強く咎めればかえって反発するのが人情というもので、そこに火がつくと受理者に対する批判の通報がエンドレスで続き、かえって業務の妨げになるから、実務に精通したオペレーターはうまくいなして通話を終える。当然、ストレスがたまる。相手は酔っぱらい、しかし、善良な市民であるから、それを意識している。それでも、つまらん言葉尻をとらえられ、頭ごなしに怒鳴りつけられ、横柄な態度で命令され、理不尽に怒鳴りつけられの状態が24時間続く。

・これがストレスにならない筈はない。しかし、警察官の中には、それを殊更に主張し「カスハラ」を受けたと主張する者は、まずいない。皆、我慢しているからだ。当然、我慢することでストレスがたまる。同じ人間だから、ストレスで眠れなくなることや、仕事に出てくるのが嫌になることだってある。しかし、それを表立って口にする者がいないのは、与えられた仕事に対する矜持があるからだ。組織を支える一員として、犯罪被害で助けが必要な人のために、いち早く事犯の初動体制を構築し、現場に警察官を向かわせ、被害者を救出し、加害者を検挙するための活動の最前線にいるという自覚を個々に有しているからだ。

・自治体職員が努力を怠っている訳ではない。ストレス耐性に劣っている訳ではない。むしろ、コロナが原因でこの種のハラスメントが増え、職員が疲弊しているのであれば、そういう時だからこそ、労働組合連合の幹部はもっと知恵を絞るべきだ。それは、言いっぱなしの職員の不満を聞き取って、責任の追及のしようがない「コロナウイルス」に転化することではない筈だ。

・悪田に言わせれば、改善案も出せない労組のバカ幹部が、現場でハラスメントに悩み苦しむ職員のガス抜き役にもなれないことこそ、諸悪の根源だと思えてならない。根本的にハラスメントが相手の人格を踏みにじり、心に深い傷を残してしまう行為であることは周知されてしかるべきだが、この労組のアンケートでは加害者側もコロナでたいへんなのだから、結局は誰のせいでもないと言わんばかりの着地点になっているように感じ取れる。

・誰しも警察官になれば、それは組織の一員として「共産党は敵だ」とか、亡くなったハマ〇ーじゃないが、「〇〇ケンジは人殺し」だとか教えられる。しかし、そんなことは単なるイデオロギーであって、仕事に情熱を注ぎ、この難局に立ち向かいながら、日々、努力をしている末端の警察官、あるいは消防、自衛隊、さらには医療関係者、もちろん自治体職員皆さんのおかげで、我々市民は安心感を共有していられるのである。

・カスハラが自治体職員にとって悩みの種ならば、労組としてまず力を入れるべきことは、アンケートの集計や、コロナや政権与党の責任に転化することではない筈だ。少なくとも労組として、所属職員からの意見をとりまとめた改善案を提案するとか、個々の職員の事態対処能力を上げて同種の外圧にどのように向き合うべきかなど、自発的、かつ、建設的努力を前提とした論議なくしては、問題の根本的解決は図れないと考える。

・共産主義者や組織の上に胡坐をかく警察幹部は、何事においても自分に不都合な主義主張を展開する者を敵とみなすであろう。しかし、おたくらが、末端の名もない英雄たちに支えられ、こうしてのうのうと指揮権をふるっていられることは、いったい、誰のおかげなのかという原点に回帰してこそ、存在意義があることに思いを致すべきであろう。

 

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