留守番電話420件が意味するもの

・今週末は二転三転のドタバタ続きだった。

・離れて暮らす高齢のお袋から「電話機が壊れたから何とかならないか」との相談を受け、身内とも相談した結果「年寄りにファックス機能は必要ないだろう」という結論に至り、㈱億山が以前に事務所で使用していた電話機を送ることとなった。

・一応、電話帳に登録していた内容、送受信履歴、留守番電話に入力されていた内容をすべて消去したものの、何と約420件の留守番電話が入っていたことに気づいた。思い返してみると、実質的に事務所を借りて営業していた期間は、わずか10カ月程度で、うち、宅建業の免許を受けていた期間は8か月くらいだった。この短い期間に、そんなに多くの留守番電話が入っていたことに改めて驚かされた。

・まったくの営業知識ゼロ、経験ゼロのド素人で始めたから、自分が何をやって良いか全く分からないままの手探りだった。結果として失敗して撤退したが、今になって失敗の要素を分析すると、あれもこれも、それもどれもすべて至っていなかったことに気づかされる。

・その420件の留守番電話の中で、エンドユーザーからの反響をいただき、契約成立に至った案件は2件だけであった。実に不思議なご縁ではあったが、良い出会いを大手不動産情報サイトを通じていただく機会があった。その相談案件に対応させていただいた結果、信頼関係が構築され。僅かながらだったが、成約(一部、費用負担)で報酬をいただくことが出来た。中身を語ると、その当時、お客様に迷惑をかけてしまうので、仔細に触れないが、いずれも変わった内容の相談だった。

・普通に家を買いたいとか、家を売りたいという相談は不動産情報サイトからは得られることはなく、そのあたりは全て悪田の飛び込み営業で契約を取って回ったが、ほぼ全てが、いわゆる任意売却案件だった。

・また、残念ながら契約に結び付くことはなかったが、いわゆる「形式的競売事件」の一方当事者から依頼を受け、買主を探索し、良い条件を整えたものの、当事者のエゴにより成約しなかった案件もあった。

・また「家を売りたい」という売主に漕ぎつけ、最高価格を提示したものの、すぐにでも現金化したいという、これもある種のエゴにより、後回しにされ「一週間以内に契約出来ないなら大手に売る」と、売主から焚きつけられた案件もあった。この時は、まさに、コロナがパンデミックとなって、社会を震撼させはじめた時期で、悪田も店を縮小して再就職先を探すために奔走していた時期でもあった。

・残念ながらこの売主さんは、悪田を一カ月以上、放置し、高く買ってくれるであろう(と目した)大手を探すという失態を犯してしまった。大手は決して高くは買ってくれない。高く買わないから大手になっている。本来、1700万円で売れたはずの物件が、わずか一カ月で1400万円で買い叩かれてしまったようだ。

・結果として、本来、悪田に売っていれば、売主はさらに300万円儲け、悪田は、何とか300万円儲けることができたが、結果として、売主は買い叩かれ、悪田は撤退し、結果、大手は500万円儲けた。こういうことを、わが国古来のお茶屋の流行語大賞とかで表現すると「漁夫の利や、意外と大手は叩き買い」という一句が生まれる。うまいっ!とあえて、自画自賛する。

・当時、悪田は、お客様に対し、お気の毒様というより、好条件を先送りにした報いだとも感じたが、今になっては気の毒だ。聞く耳を持たない人は、得てして損をしがちかも知れないが、こういう失敗でお客様を後悔させてはならないのは、悪田に課された今後の使命だと思う。

・今、悪田権三は不動産業への再起をかけて、準備をしている。本来は順番が逆になることを、自分の中で重々承知のうえ、実務経験ゼロで始めて起業したことが、結果として、大失敗を経験したことかえって良い経験となり、自分を向上させることが出来たという話に繋がってくるだろう。

・今、悪田は、普通に何とか生活が出来ていることを前に書いた。警察にいた時に比べれば、仕事は三倍忙しくなり、収入は三分の一に減少したが、これは、経験値レベルで考えれば、悪田がこの先の人生という時間軸において、先行投資している授業料に過ぎない。

・よく、コロナのおかげでと嘆く人が多いが、悪田は逆にコロナのおかげて多くを学んだ。二度とこういう恥ずかしい撤退をしたくないという気持ちがあるから、次の再起にかける気持ちはさらに大きい。

・実は、そのあたりのチャンスを手に出来るか空振りするかのハザマに、今、まさに差し掛かっている。このあたりの詳細は、いよいよ準備が整った段階にて、またご報告させていただくことにする。

・悪田が、不動産業開業当時、ある古参の宅建業者さんから、新人業者に向けてアドバイスしてくれたことを思い出す。「とにかく我慢することだ、我慢して待っていれば、いつか、客が来る、みんなそういう思いをして、今、現在、ここにいる」と有難いお言葉をいただいた。その方は、とんかつ屋から、転職して宅建業の世界に飛び込んで来られたらしい。

・当時、悪田は、その言葉を粋に感じ、元とんかつ屋の兄貴に足しげく通ったりもした。しかし、今はそれはまったくない。それは、その後の経験において、悪田が不要と判断したからだ。良い人と長くおつきあいできる人とを比較すると、必ずしも両者の期待度は一致しない。

・悪田が宅建業者として不動産情報サイトを利用させていただいていた当時、登録するための経費に、毎月、約10万を払っていた。正直、かなりキツかった。HPからのメアドがすべて紐づけされていたからだ。

・今では当時のメアドは全く使えないが、メアドの取得など、そもそもフリーで可能だ。現に悪田も今はフリーメールアドレスを使用している。それで十分だ。

・今や、商売をするのに、きっちりとカネがかかる時代だ。とにかく、何をやるにも金が要る。だからこそ、一方で情報を登録するにも、いちいち金がかかり、エンドの気持ちを掴むにも、それに、常に乗っていないと乗り遅れてしまう。それはそうだが、悪田はこの言葉に翻弄され、小銭を失った。

・エンドユーザーの中には、レインズであれ、不動産情報サイトであれ、公開されている物件への案内を毛嫌いする人がいる。大勢いる。実は、このあたりを体現していくから「未公開物件」という魔物がもてはやされたりもする。

・当時、自信のなかった悪田は、インターネット広告の力を借りれば、十分に集客を行ってくれると思っていたが、本当に耳よりな物件はネットには出ないものだ。

・こういうことも含め、業務の進め方に自信がついてくると、自分の考えたとおりの筋道で進めて行けば良いだけとなる。かつての悪田のように引っ掻き回されれば、バカの評判がネットを通じて駆け巡る。しかし、それを生かして、引っ掻き回した連中を俯瞰すれば、人間の底が見えて来る。

・だからこそ、次は絶対に、このあたりの凡ミスをしない。自分が出来ることを自信をもってやればいいだけのことだから、何も難しいことはない。

・他人を食い物にして、客寄せ広告のネタにした連中とは付き合わなければ良いたけのことだ。ネットには頼らない、頼る必要がない。同業者を信用しない。エンドユーザーの気持ちを掴む。本当に良い物件は自分の力で獲得する。これを体現していれば不動産業者などド素人でも簡単だ。

・お袋に電話機を送った直後に電話した。すると、お袋から「既に買ったから要らない」との返答があった。

・今後、余計な忖度は一切しないと心に誓いつつ、それでもその経験が、本ブログのネタになったことに感謝することにした。

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